世界随一の技術開発のコア拠点をハックする!(1/2)

ダイキン工業 稲塚徹さん&足利朋義さんインタビュー
このハッカソンのWHY!?(なぜ)
技術のダイキンにふさわしい柔軟な発想の必要性を感じていたから
このハッカソンのRESULT!?(どうなった!?)
普段の業務では気づきにくい視点や斬新なアイデアが続々誕生!
グローバル空調総合メーカーのダイキン工業が更なる技術の高みと社会貢献を目指し、2016年10月29日(土)30(日)の2日間にわたって「ビル空調ハッカソン」を開催。自主参加の社員も含む参加者53名から飛び出したアイデアとは――。

このハッカソンのWHY!?(なぜ)
社内では生まれ得ない柔軟な発想が必要!

「――始まりは典型的なボトムアップでした。若手エンジニアが自主的に手を上げたのです。」

ハッカソン開催のきっかけと経緯をそう語るのは、ダイキン工業イノベーション戦略室の足利朋義さんです。
足利さんはボトムアップを実現すべく、テクノロジー・イノベーションセンター(以下、TIC)の副センター長を務める稲塚徹さんに,「『コト』の価値創出のために、IoTをキーワードにしたハッカソンを開催したい」と相談したところ「どんどん進めて」との回答。センター長の米田裕二さんも即承諾し、プロジェクトが動き出しました。

ダイキン工業は家庭用ルームエアコンをはじめ業務用空調機や換気設備などをグローバル展開する、世界屈指の技術力を誇る企業です。テクノロジー・イノベーションセンターは2015年11月に社内外の知恵を結集して“協創イノベーションの実現”に挑戦する場としてオープンした。シェアードスペースやフューチャーラボも備え、ハッカソンの開催にぴったりの施設でした。

「ハッカソン主催は当社初の試みですが、社内のメンバーだけでは生まれ得ない発想に触れられることが魅力だと思います。技術者は性能向上や効率化など『モノ』に焦点をあててしまいがちです。社会に新しい『コト』のご提案をしていくためには、このままではいけない。我々には『コト』に関する柔軟な発想が必要なのです」(稲塚さん)

ダイキン工業 テクノロジー・イノベーションセンター

このハッカソンのHOW(どうやって)
ハッカソンのあるべき姿を視覚会議®で合意形成!

ハッカソン開催に向けて、足利さんはHackCampの矢吹に連絡を取りました。足利さんはHackCamp主催「感動プロダクトを創造するための仮説検証ワークショップ」に参加しており、HackCamp流イベントを体感していたのです。

相談を受けた矢吹はハッカソンの前に「視覚会議®」を実施し、実行メンバーのマインドセットを行うことを提案しました。なぜならメンバーの「協創」への合意形成という原動力なくして、ハッカソンの成功はあり得ないからです。

有志を対象にした視覚会議®は就業時間後に開催されました。足利さんを含め、6人の若手エンジニアが集結して「TICのオープンイノベーションのあるべき姿」「ダイキンハッカソンのあるべき姿」という2つのテーマに取り組みます。視覚会議®では参加者全員であるべき姿に対して単語を発散・選択したのち、各自が1作文ずつ作り、その内容を共有することで合意を形成していきます。ときには笑いやどよめきが起こるなか、参加者が書いた作文からは次のような「あるべき姿」が導かれました。


≪TICのオープンイノベーションのあるべき姿≫

・さまざまな個性を持つ人々が集結する
・立場を越えて、ワクワクしながら、情熱をもって本気で取り組む
・社内外と連携しながら、まずやってみる
・やってみた結果としての失敗は許される
・それら活動は他の人やチームに認知されている

≪ダイキンハッカソンのあるべき姿≫

・本物のエアコンを使って簡単にアイデアを試すことができる
・強い発信力と話題性を持ち、さまざまな人とつながることができる
・幹部がうなるような、新機軸のアイデアが生まれる
・商品化に向け、社内が一体化する
・参加することがステータスだと言われる


参加メンバーからは「全員に数回の発言機会があり、かつ誰が発言したかを気にしなくてもよい仕組みがすごい」「全員で意思決定ができた!という納得感がある」などと驚きの声が上がり、「TICをハックしよう!」という士気が高まりました。足利さんも「みんなのモチベーションが高まり、自発的に動く『気』を感じた」そうです。その後、話し合いによってハッカソンのテーマは「ビル空調をハックせよ!」に決まりました。
さらに、ビル空調を一括制御できるAPIを、今回のハッカソン限定で公開することも決定。
この限定公開については、堅牢なセキュリティとの兼ね合いで非常に難しい調整が必要であったところ、事務局の小倉さんの尽力により、「社外の企業を巻き込んでシステムを立ち上げる」という、今までに無いやり方で実現することが出来ました。

限定公開のAPIについて説明する事務局の小倉さん

これらの取り組みを事務局メンバーが一丸となり、半年がかりで準備を進め、ついに2016年10月29日(土)、ハッカソン当日を迎えました。

この日、TICに集まった参加者は53名、ダイキン工業からはビル空調コントローラやリモコン開発に関わったエンジニアを中心に社員9名が参加しました。
1チーム5~6名、全10チームがそれぞれにビル空調をハックし、ユーザーの求めるオフィス空間のUIや新機能のアイデアをカタチにしていきます。

53名の参加者がビル空調のハックに挑戦!

53名の参加者がビル空調のハックに挑戦!

ものづくりに入る前に、まずは矢吹のファシリテートによるアイデアソンです。今回は短時間でどんどんアイデアを出すブレインライティングと、そのアイデアを取りまとめるアイデアスケッチを行い、ビル空調における不満・課題、その解決策を考えていきます。ここでしっかりとアイデアを発散しておくことが、のちのハッカソンに効いてくるのです。

一人ひとりがアイデアを考えるブレインライティングは、足利さんが「ピリピリするほどの真剣さが伝わってきた」というほど誰もが集中しており、受験会場さながらの静けさでした。そのあとに続くアイデアスケッチは一転して賑やかなグループワーク。各自が出したアイデアをカード状に切り離し、似たものをグルーピングしたり並べ替えたりしながら、チームのメンバーと解決すべきテーマや開発の方向性を絞り込んでいきました。

ブレインライティングに取り組む様子は真剣そのもの

ブレインライティングに取り組む様子は真剣そのもの
アイデアスケッチでは発散したアイデアを収束させ、テーマを絞り込む

アイデアスケッチでは発散したアイデアを収束させ、テーマを絞り込む

いよいよハックタイムのスタートです。ハッカソンのファシリテータは若狭正生さん。参加者からの質問や相談などを随時受け付ける技術メンターは松本雅博さん、かみやしんぺいさん、デザインメンターは濱田浩嗣さんが務めます。

会場の一角のブースには協力各社から提供された人工知能やセンシング機器、スイッチ類やウェアラブルをはじめさまざまなSDK、ガジェットなどがずらりと並べられました。また、大型スクリーンには各チームがハックしているビル空調のモニタリング画面が表示され、10台のビル空調の冷暖房の設定、送風強弱、温度設定、実際の温度などが変化する様子を見ることができます。

大型スクリーンに見入る人、ひたすらパソコンと向き合う人、ガジェットの使い方を模索する人、天井の空調設備に手を伸ばす人、プレゼンテーション用の小道具を作る人……それぞれの参加者がチームの設定したゴールに向かって、全力で行動していました。

ファシリテータやメンターの助けを借りながら作業を進める参加者

ファシリテータやメンターの助けを借りながら作業を進める参加者
大型スクリーンに表示されるビル空調のモニタリング画面

大型スクリーンに表示されるビル空調のモニタリング画面

次回は!?

いかがでしたか?このハッカソンのRESULT(結果)はこちらからごらんください。
このハッカソンのRESULT(結果)
普段の業務では気づきにくい視点や斬新なアイデアが続々誕生!

世界随一の技術開発のコア拠点をハックする!(2/2)

インタビューイプロフィール

稲塚徹(いなづか・とおる)さん

テクノロジー・イノベーションセンター 副センター長
1983年、ダイキン工業株式会社に入社し、主に蒸気圧縮式HPサイクル、デシカント式HPのシステム、要素技術の研究開発に携わる。2008年、環境技術研究所エグゼクティブリーダーを経て専任役員、環境技術研究所長就任。2010年、常務専任役員就任を経て2015年11月 テクノロジー・イノベーションセンター副センター長に就任し、現在に至る。

足利朋義(あしかが・ともよし)さん

イノベーション戦略室
2004年、ダイキン工業に入社。ビルの空調コントローラの企画・開発を担当。 現在は、2015年よりオープンしたテクノロジーイノベーションセンターでは、IoT技術分野の探索・企画に関わりつつ、アイデアソンやハッカソンなどの外部協創の活性化に取組んでいる。

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