教員とエンジニアが共創!先生発ハッカソン

2015年10月17日、お台場にある日本科学未来館にて「先生発!ハッカソン」と題したハッカソンの成果発表会が行われました。これは「学習・教育オープンプラットフォーム」に関連する技術の活性化・利用促進ををする団体・ICT CONNECT21主催のもと、学校の先生という立場から考えた思わず使いたくなる教材・システムを考えてみようというイベントです。

いま教育現場にはさまざまなテクノロジによる改革を求められています。2020年までに小中学生の1人に1台ずつタブレットを持つように国が目標を掲げているほか、パソコンや電子黒板を活用した授業が広がり授業のあり方が変わってきました。
しかし、学校の先生のすべてがITにまつわるテクノロジに詳しいわけではありません。教育現場でおこる様々な問題や業務に対応し、激務に追われる教員の方が、このハッカソンの場でエンジニアやデザイナーの力とあわせてそれらの解決、提案を試みたのがこのイベントです。

アイディアソンから生まれた6つのチームが発表!

この発表会は10月10日、11日の2日間にかけてお台場・モノづくりコワーキングスペースMONOにて先生たちからの意見を組んだアイディアソンから始まりました。そこから2週間かけて先生とエンジニア、デザイナーがチームを組んでオンライン上でやり取りを進めながら開発を進めたものを発表する場でした。

審査員にはICTCONNECT21会長 赤堀侃司さんをはじめ、デジタルハリウッド大学大学院教授 の佐藤昌宏さん、朝日新聞社ジャーナリスト学校 シニア研究員の服部桂さん、倉敷市豊洲小学校 校長 尾島正敏さん、品川女子学院 情報科主任 ICT教育推進委員長 酒井春名さん、 NPO法人CANVAS プロデューサー 土橋遊さん、料理研究家 行正り香さんと豪華な方々がそろいました。そしていよいよ、アイディアソンから生まれた6つのチームからそれぞれ成果物の発表です。

・カミーラズ


学校に子供を通わせる親御さんと先生をつなぐ連絡帳をオンラインのWebサービスにしたのが、この「カミーラズ」です。
学校からの連絡が子供をとおしてうまく親御さんへ伝わらなかったり、また逆に親から細かな情報を学校に伝えたいときにうまく連携ができるようになります。また仕事の忙しい親御さんでも隙間時間に学校へ連絡ができるようになったり、myThingsを用いることでこれまで利用していたメールやメッセージアプリからそのまま投稿できたり、連携する体温計から子供の体調を自動で共有することが可能になります。

・FEED BUCKS

多忙な先生達が生徒1人1人のいいところを見逃さないようにするために、生徒と先生による校内SNSが「POSITIVE REPORT」です。
2020年を想定して、オープンでタイムリーな教育の場でのフィードバックを目的とし、生徒に自分のよさに気づいてもらい、さらに周りの友達のよさを知るような機能を盛り込んでいます。
機能は一般的なSNSと同じく、サービスにログインをし写真やコメントを投稿します。音声入力による投稿にも対応し、投稿されたコメントを音声再生することも可能です。またその投稿に対して30個ものポジティブなリアクションをつけられるようになっています。
このような形で生徒の周りでできたことを投稿することで、クラスや家庭で、その子がどんなことを気にしているか、どんなよさがあるのかの発見につながります。

・First Penguin

学校での子供達とのやり取りや授業・テストのなかで、間違えてしまったこを集積・蓄積していって、その傾向にあわせた教育ができるような提案ができるような場になるWebサービスが「Miss+Start(ミスタート)」です。
MissとStartの2つの言葉をあわせたこの名前は、子供達の間違いをバツではなくエックス(未知数・可能性)と考えて、そこからその子にあわせた学びを周りの大人が作っていけるようになればと考えられました。
先生がXを発見したら、それをWebサービスに書き込み、各種タグ(教科別、状況別など)をつけていきます。それをつけていくことが、トータルしてどのような部分への学びを強めたらいいのか、また次年度の先生への引き継ぎとして利用できるようになります。
・Team Tantan

テクノロジ化が進むなかで、生徒にどれだけ身になる興味深い授業を行えるかは教員にとって大きな課題となります。そこで、先生が実施したいと考える授業の実現を応援するサイトが「Edu CONNECT」です。
例えば、積雪の多い地域の暮らしを伝えるときに資料を集めるだけではいまひとつ生徒たちへ伝えることができません。そんなときにその地域に住む子供たちとビデオチャットで繋がることができたら、話すことができたらそれはきっともっと実感できるものになるはずです。
そういった特殊な授業を実施したい教員と、それを叶えられる企業や個人をつなげてマッチングさせるサービスです。
・採点分析アプリ

先生たちの業務のなかで一番の負担になっているのは試験の採点です。
何か新しい取り組みをしたくても、そこに時間をとられてしまいどうしても何かに取り組む時間がつくれません。それを解決するのが採点分析アプリ「○つけくん」です。
このアプリは手持ちのパソコンやスマートフォンにインストールするだけで、学校にある複合機のスキャナーからテストをスキャンすることで、アプリ側に登録されている教材の答えを自動で判別して○×をプリンターで出力することが可能です。
また、間違えた問題だけを抽出して、間違えた部分へのコメントをいれた補修試験をプリントすることができます。これを導入することで全国の先生たちの時間を大幅に有効活用できるようになります。
・ちーむ下敷き

2020年に向けて授業のタブレット化がすすむなか、学ぶうえでの書くことの大切さに注目したデバイスが「つながる下敷き」です。これはリアルとデジタルの融合をテーマにを考られました。
今まで使っていたえんぴつ、消しゴム、紙をいつものように使うときに、下敷きとして電子ボードをしくことで、そのボードの上で書くとタブレットにその内容がそのまま反映されます。
タブレットに実際に書くのではなく紙に書いて学習できるという点、また筆圧や書き順を記録できるため、生徒それぞれの個性に注目して学習を進めることが可能になります。

さらに、今回技術面のメンターとして参加していただいたTMCN(Tokyo MotionControl Network)の皆さんも、今回のハッカソンで提供されたセンサーやデバイスをうまく使い、黒板に書かれたことを蓄積し共有する「バンコレ!」や、廊下をなぜ走ってはいけないのか、交通ルールをなぜ守る必要があるのかをリアルに学習できる「キケンVR体験」といった作品を開発されていました。

発表終了後、発表と同時に行われていたグラフィカルレコーディングと成果物のタッチアンドトライが会場で行われました。審査員の方々がそれぞれのチームに興味深そうにお話を聞かれている様子がうかがえました。

また会場にきていたお客さんも、楽しそうにサービスを使いながら「こういったサービスが実現してほしい」というようなことが話されていました。
ここで一度審査タイムとなり、午前の部の終了となります。

いまの中高生の活動から教える側の考えることとは
午後からは日本賞50年記念イベント「U18 ぼくらの未来 ~伊藤穰一と中高生の白熱トークライブ~」として、日本の中高生たちと伊藤穰一(MIT メディアラボ所長が)とライゾマティクスリサーチの真鍋大度さんとの「未来」をテーマに熱く議論するイベントが日本科学未来館の別会場で行われ、そのパブリックビューイングが本会場で放送されました。
トークライブでは大きく3つ未来にわけて議論が行われました。

1つ目の「エンターテイメントの未来」では、2015年にライゾマティクスリサーチが初めて開催したサマーワークショップに参加した高校生たちの様子が取り上げられ、ボットアーム、モーションキャプチャ、ドローン、ダンサーと組み合わせたクリエイティブとテクノロジの融合による成果発表がありました。
2つ目の「イノベーションの未来」では、INNOVATORS’ SUMMER”と題する6週間のハッカソンを自ら組織した中高生たちをメインに、どのようにしてそのハッカソンが生まれたのか、またそのハッカソンでどのようなサービスが生まれたのかについて話がありました。
3つ目の「ぼくらの未来」では、伊藤さんと真鍋さんへ中高生達が様々な質問を投げかけていました。
このトークライブは来年年明けにNHKにて放送が予定されているそうです。

そしてこのトークライブを聞いたハッカソンの参加者同士で共創会議が行われました。共創、とは今回のハッカソンの主旨でもあり、お互いに意見を出し合うことで新たな価値を創造していこうというものです。トークライブのグラフィックレコーディングを見ながら、より深い議論が進められました。

ハッカソンに参加したことで、新たな気づきが生まれた人、また今の教育の進化のスピードに疑問を持っている人、そして学校という場だけではなく教育の場をもっと広げればいいのではと考える人など、様々な意見が飛び交っていました。

最優秀に輝いて松坂牛を手に入れたのは……
いよいよ結果発表です。授賞式は日本科学未来館の展望レストランにて行われました。
審査はアウトプット評価、持続可能性評価の大きく2つの視点から評価され、それぞれのチームにあった賞が設定されました。

・ブレンド賞「つながる下敷き」

・CONNECT賞「Edu CONNECT〜コラボ授業を進める応援アプリ〜」

・すぐに使えるで賞「POSITIVE REPORT〜生徒の良さを発掘〜」

・エックス賞「Miss+Start ミスタート」

・伝えてつながるで賞「カミーラズ」

・最優秀賞「採点分析アプリ ○つけくん」

それぞれのチームが笑顔で授賞式を終え、懇親会にてそれぞれおもいおもいに笑顔でハッカソンをしめくくりました。
会のなかでは、かかれたグラフィックレコーディングをバックに、参加者、審査員共に夜遅くまで熱く議論がかわされていました。

学校という場へのテクノロジ化はまだまだこれからという反面、その分、未来の子供達にむけて環境をよりよく変えられる可能性がまだまだたくさんあるということにもなります。
今回発表されたサービスが実際にリリースに向けて動きだしリアルに現場で使われていくように願いながらも、もっと未来の教育の場の改革というものもこれからもっと色々な形で展開されていければといくのではないかと期待をもってしまうようなイベントでした。

 

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