還暦COBOLの温故知新ハッカソン
AWSとの組み合わせで広がる可能性

COBOLコンソーシアム様事例インタビュー

プログラミング言語COBOLの最初の仕様書が発行されてから60年を迎えたことを記念し、COBOLコンソーシアムは2020年2月にイベント『IT温故知新!COBOLハッカソン2020』をアマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)本社で開催しました。企業や行政の基幹システムなど、ビジネス色の強いCOBOLですが、アマゾン ウェブ サービス(AWS)のさまざまなサービスとの組み合わせにより、今までにないユニークなアイデアが多数飛び出しました。

イベント『IT温故知新!COBOLハッカソン2020』Day1の様子

一般的なハッカソンのイメージとのギャップ

COBOLコンソーシアムは、プログラミング言語COBOLの普及やユーザー利益を守ることを目的に、複数の企業が結集して2000年に設立された団体です。会長は、株式会社日立製作所 サービスプラットフォーム事業本部 IoT・クラウドサービス事業部 ミドルウェア本部 システム&データアプリケーション部の主任技師である高木渉さんが務めています。

「60周年記念イベントでハッカソンをやろうというアイデアが出たときは驚きました。一般にハッカソンは「〇〇を解決するもの」など成果物に縛りがありますが、今回は何を作っても良いけれど、趣旨から言って開発言語にCOBOLを使うことで縛ることになる。それで本当にハッカソンができるのかと心配になりました」(高木さん)

そもそもCOBOLは企業や行政の基幹システムに使われる言語。「堅実さ」「真面目さ」「伝統的」といったイメージが強い上に、エンジニアは比較的年齢層が高いと言われています。ハッカソンの持つ「新しさ」「スピード感」「若手向け」といったイメージとのギャップから、COBOLを使うエンジニアが興味をもってくれるかどうかも心配の種でした。しかし、追い風も吹いていました。AWS LambdaでCOBOLのサポートが発表されるなど、新たな技術への広がりが出始めていたのです。

COBOLは社会基盤と言われるようなシステムでも広く利用されていますし、これからもエンジニアの育成が必要ですから、コンソーシアムではCOBOLの新しい魅力の開拓につながればと、「温故知新」をコンセプトとするハッカソンの開催を決定しました。

Day1のハンズオンセミナーは内容充実

COBOLハッカソンの企画・運営をコンソーシアム内で主導したのは、東京システムハウス株式会社 ビジネスイノベーション事業部 マイグレーションソリューション部部長の比毛寛之さんです。

「COBOLとAWSを組み合わせること、AWSジャパンさんに会場をお借りすることは決まっていましたが、日程調整や企画検討には時間を要しました。たとえばDay1にハンズオンセミナー、Day2に成果物の発表会という段取りは決まっていても、2日間連続の方が良いか、時間を空ける方が良いかは議論が分かれるところです。また、参加者の技量もさまざまだと想定されるので、ハンズオンでどこまで情報提供すべきか、いろいろな意見が出ました」(比毛さん)

「結果的には良いハンズオンでしたよね。AWSジャパンさんのAWS環境構築のセミナーもわかりやすかったですし、東京システムハウスさんは、今回のために用意していただいたCOBOL利用環境のイメージからの利用方法を説明され、さらにはAWS Lambda上でCOBOLを動かすためのヒントの提供もありました。すぐに開発に手をつけられるので、限られた時間でアイデアを形にするためには有用な情報だったと思います」(高木さん)

2月19日に開催されたDay1ハンズオンセミナーの様子

 

まさかの事態でDay2発表会は中止の危機に!?

当初、イベントはDay1「ハンズオンセミナー」を2月19日に、Day2「発表会&トークイベント」を3月7日に開催する予定でした。ところが、Day1開催直前ころから新型コロナウイルス感染症対策が強化されていきます。

「自粛要請でDay2の会場が使用不可になったことが転機でしたね。最初はトークイベントを配信しようかと考えたのですが、機材の問題もありますし、自粛要請の対象が広がっていったので断念。そうしている間にも、参加者のみなさんは開発を進めていますから、オンラインでできることをHackCampさんに相談しながら検討しました」(比毛さん)

参加者が集まることなく、かつ限られた予算内でできることとして、HackCampが提案したのがオンライン発表会でした。各チームは開発した作品のプレゼンテーション動画を制作し、COBOLハッカソンのページで公開します。審査員と参加者はそれらを1週間かけてじっくり評価し、オンラインで投票して賞を決めるというものです。

「企画変更によって作品の提出期限が1週間延び、これが参加者には好評でした。期限があるからこそのハッカソンですが、それぞれが満足いくものを作れたのだと思います。また、リアルの発表会ではプレゼンテーション技術が高い人が有利な場合もあるのですが、動画で表現することで、各チームの良さが出せたと思います」(比毛さん)

Day1ハンズオンセミナーのあとにチームごとに打ち合わせ。ここでの議論が作品作りのベースに

最優秀作品はまさかの恋愛シミュレーション

審査結果は3月30日にイベントの特設サイトにて発表されました。第1位に輝いたのは、アクセンチュア株式会社の有志からなるチーム「ときコボ実行委員会(野嵜組)」の『ときめきコボリアル ~この思いは届くのか?ドキドキ告白ターイム!~』。タイトル通り、まさかの恋愛シミュレーションゲームだったのです。アイデアを出したのはイカリモトさんでした。

「COBOLは仕事でしか使わない言語ですし、普通のハッカソンよりも参加者の年齢層が高めだったので、思い切って攻めた企画が良いと思いました。それ以上のことは考えていなかったのですが、ナガシオさんが自然言語解析COTOHA APIを使おうと提案してくれました」(イカリモトさん)

「今回はCOBOLとAWSに加えて、音声連携としてAlexaを使用しており、私はCOBOL以外の部分を担当していました。ほかのチームとの差別化として、フルクラウドネイティブに挑戦したのですが、それが残り3日というタイミングで、時間の大切さを実感しました」(ナガシオさん)

「COBOLを担当しました。メインのプログラムは初心者でもわかるレベルのシンプルなものですが、今回は人生初のアスキーアートにも挑戦したんです。なぜか文字化けが起こるとか、画面のなかに収まらないとか、いろいろな苦労がありましたね」(ノザキさん)

「ときめきコボリアル ~この思いは届くのか?ドキドキ告白ターイム!~」のプレイ画面。アスキーアートのキャラクターが印象的

「Day1のハンズオンには参加できなかったのですが、開発ではAWSを担当しました。普段同じ職場に働いていながらも接点のないメンバーと、今回のハッカソンを通してコミュニケーションできたのが良かったと思っています」(カドクラさん)

審査において「ときめきコボリアル」が高く評価されたのは、アイデアの斬新さや作品の完成度だけでなく、新たなことに挑戦した情熱やチームワークの良さが動画から感じられたからかもしれません。また、今回のハッカソン参加を通して「COBOLはもっと活用できる場があると思った」「普段仕事で使っていないCOBOLへの理解が深まった」といった感想も聞かれました。

優勝した「ときコボ実行委員会(野嵜組)」のミーティングの様子

アクセンチュアでCOBOLコンソーシアムを担当するテクノロジーコンサルティング本部 インテリジェントソフトウェア エンジニアリング サービスグループ アソシエイト・ディレクター 中野恭秀さんは今回のイベントをこう振り返ります。

「60周年記念の企画検討にあたり、COBOLをAWS上で実装すること、そしてAWSジャパンさんの先進的で解放感のある会場をお借りしてハッカソンを実施することを提案しました。コンソーシアムの趣旨を汲み取り、快くご協力いただきましたAWSジャパンさんにはこの場をお借りして御礼申し上げます。また、弊社社内でイベント参加者を募ったところ驚くほど多くの手が挙がり、海外拠点2チーム(フィリピン・大連)を含めて多数のチームがエントリーしました。優勝チームに限らず、それぞれが普段のCOBOLの使い方とは違った知恵や工夫を施して楽しめたのではないでしょうか。ほかの参加チームの皆さまにも今回のイベントに参加して良かったと感じていただけていると思います」(中野さん)

COBOLハッカソン×オンラインで見えたもの

当初の計画とは変更があったものの、イベントは無事に終了しました。1年以上かけて準備を進めてきた比毛さんは当初、集客が不安だったと言います。

「イベント開催告知が遅れましたし、COBOLエンジニアはやや年齢層が高いので、本当に人が集まるのかなと。でも、COBOLでハッカソンという物珍しさから話題が広がったようで、実際に多くの方にご参加いただきました。参加者の年齢層も幅広く、ベテランと若手が協業するなど、イベントのコンセプト通り『温故知新』の場を提供できたと思います」(比毛さん)

「参加されたみなさんのエンジニアとしてのスキルもアイデアを実現する能力も高く、非常に充実した内容でした。最優秀賞の恋愛シミュレーションも素晴らしかったし、AWS賞に輝いた「こんな時だから、いつも笑顔で」のドローンを飛ばすアイデアにも驚きました。COBOLでまだまだ新しいことができることを作品で示していただけました。我々としてはこうしたイベントを通して、COBOLに触れたことのない若い人たちにもCOBOLに興味を持ってほしいと思っています」(高木さん)

誕生から60年を迎えるCOBOL。まだまだこれから活躍の場が広がっていきそうです。

関連リンク:

COBOLハッカソンホームページ 応募作品もご覧いただけます。

http://www.cobol.gr.jp/hackathon/index.html

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