組織に所属するかぎり目標管理(MBO)は避けては通れないもの。
そこで作成される目標設定の中には、解像度の低いアクションプランがよくあります。チームの目標達成を確実にするためには、各メンバーが具体的で実行可能なアクションプランを持つことが重要です。
そこで、アクションプランの解像度を自然に高められる裏技をご紹介したいと思います。
特にチームリーダー、マネージャーの方は、ぜひ参考になさってみてください。
目次
この3つのステップで、具体的な行動につながる目標設定が可能になります。
それぞれのステップの詳細を見ていきましょう。
目標設定では、手段と目的を分けて書くために以下のEMS(手段目的構造化)フレームワークを活用します。EMSフレームワークとは、元ナムコの中村隆之さんがゲーム開発のアイディア出しのフレームとして開発したものです。
○○をxxxして(手段)、□□を△△する(目的) ゲーム
EMSフレームワーク
例)
敵を倒して、レベルを上げる ゲーム
パズルを解いて、スコアを稼ぐ ゲーム
このフレームワークを目標設定、アクションプランの設定に活用します。
目的と手段をセットで定義することで、目的達成のために、柔軟な手段やアイディアを自ら定義できるようになります。
○○をxxxして(手段)、□□を△△する(目的)
目標設定用EMSフレームワーク
営業部門を想定した目標設定、アクションプランをEMSで作成した例を示します。
いかがですか?
具体的で、実際に何をすればいいかが明確になったのではないでしょうか。
アクションプランの解像度をあげるために、禁句ワードを指定して、その単語をEMSフレームワークの手段の項目での利用を禁止とします。
【禁句ワード】
アクションプランの具体性と実効性をあげるために使用を控えたほうがよいワード。
例えば、「業務を効率化する」、「方向性と課題を明確化する」、「プロジェクトを推進する」、「管理体制を強化する」、「品質を向上させる」などです。
具体的に何をするかは人により解釈が分かれるのではないでしょうか。
これらを禁句ワードとして、手段に入れないようルール化するのです。
※ フォーム入力なしでダウンロードしていただけます
例 「営業プロセスを効率化をして、残業時間を20%削減する」
「手段」の部分に「効率化」は禁句ワードになります。
この「効率化」を使わない文書に変換します。
「セールスチームにタブレットを配布して、訪問先での即時データ入力を可能にし(手段)、残業時間を20%削減する(目的)」
アクションプランや目標設定の時点でこの具体的なアクションが思い浮かばない人は、作業の段取りのイメージができてないので、成果は出せません。
なかなか具体的なタスクのイメージが浮かばない方は、chatGPTをはじめとした生成型AIから具体的な施策を列挙して、自分が実現できそうなアクションアイテムを入れるというのも良いと思います。
EMSフレームワーク、禁句ワードの適用されたアクションプランを見て、最終的に作業イメージが持てるかどうかを評価します。イメージできるならそれで完了です。
もし具体的なイメージを持てないなら、禁句ワードが含まれてなくても、そこの解像度を高めるために表現を変えるべきでしょう。
例えば、EMSフレームワークで表記し、禁句ワードを修正したアクションプランが以下の内容だったとします。
「セールスチームにタブレットを配布して、訪問先での即時データ入力を可能にし、残業時間を20%削減する」
ここでは「残業時間を20%削減する」のイメージが持てなかったので、残業削減につながるサブタスクに分解して小さな目標に設定しなおします。
修正後
残業時間を20%削減する
修正後
営業報告書の作成時間を半減させる
最終的なアクションプランはこのようになりました。
「セールスチームにタブレットを配布して、訪問先での即時データ入力を可能にし、営業報告書の作成時間を半減させる」
以上のように、このシンプルな3つのルールを社員の目標設定に取り入れることで、社員の段取り力があがり、解像度が高いプランが作られて、目標の達成度が高まります。
目標管理をするマネージャーやリーダーの方、目標を設定しても思うように実動が進まないという方は、ぜひ参考にしてくださいね。